フライフィッシングは、イギリスで貴族の遊びとして発展してきた釣りです。
それゆえに、日本の毛バリ釣り・テンカラ釣りとは同じ毛バリ釣りでも趣がずいぶん違います。
テンカラ釣りは職業漁師が効率よく魚を釣るために発展してきた釣りだけに、手返しの良さやシンプルなタックルだけに機動力も高い釣りです。
しかし、フライフィッシングはタックルのセットも慣れるまでは手間だし、長いラインを振りながら釣り歩くのですから決して機動力が高いとはいえません。
逆に、遊びから生まれた釣りだからこそゆったりとした雰囲気と、手間それ自体も楽しみに変えてしまう釣りであると思います。
だから、フライフィッシングは釣りそのものが楽しみであることは当たり前ですが、その他にもキャスティングの楽しみ(キャスティングの大会も開かれています。)やナチュラルドリフト等のテクニックを駆使する楽しみ、タイイングの楽しみなどなど、その他の楽しみ方は人それぞれであると思います。
個々のこだわりを持って渓流に出向き、イメージどおりに美しい渓流魚が釣れたときの喜びはまた特別なものがあると思います。
渓流のフライフィッシングに適したタックル
フライフィッシングに必要なタックルは、ロッド・リール・フライライン・リーダー・ティペット、それにフライです。
ロッドは、日本の渓流では8フィート前後の3番ロッドが使いやすいと思います。
アベレージサイズである20〜25センチ程度の渓流魚を釣るにはオーバーパワーですが、1本あれば渓流はもとより源流・本流・湖・管理釣り場まで幅広く対応できますので、初めての1本には向いているでしょう。
また、最近ではより繊細な釣りが求められている事から2番のロッドで釣る人も増えています。けれど、2番のロッドで思ったとおりにキャスティングするのはそれなりに技術がいりますからビギナーの方にはお薦めしません。

ラインはDTの3番(ロッドが4番ならば4番のライン)。DTとはダブルティーパーのこと。フライラインの両端ともテーパー状になっているので、ラインを巻き変えることで新しいラインに交換したのと同じ様に使う事ができます。
WFの3番というフライラインもありますが、本来WFはロングキャスティングしやすいように作られているラインです。日本の渓流では、キャスティング距離は通常は10ヤード前後。遠くても15ヤードくらいのものですから、WFラインのメリットが生かせません。
リールは、特に指定のフライラインが収まるものならば何でも良いのですが、ロッドとの重量バランスには注意しましょう。ロッドとのバランスが悪いとキャスティングがしにくくなるほか、一日振っていると疲れてしまいますから。
ルアー用のスピニングリールのようなドラッグ性能は、渓流釣りであるならば特に必要はありません。デザインの気に入ったものをチョイスすればよいでしょう。

リーダートはフライラインの先につける糸のことで、その先につけるティペット(ハリスのこと)との兼ね合いで太さを選びますが、渓流釣りならばせいぜい4X〜7Xもあれば十分です。
ティペットも通常ならば4X〜7Xの物で十分でしょう。しかし、春先やマッチングザハッチの時のように、ミッジフライ(小さな虫をイミテーとしたフライ)を使う時などは8X〜10Xという細いティペットが必要になります。
フライは、その渓流の魚が食べている餌にあわせるのが普通です。始めのうちはあまりリアルなフライにこだわらず、ドライフライならばエルクヘアーカディスやパラダン・ソラックスダン・アダムス等のアトラクターフライを中心に使っていったほうが見やすくて釣りやすいと思います。また、夏場ならば陸生昆虫(アリやコガネムシ等のフライ)も用意しておきましょう。
サイズは、カディス系ならば♯10〜18、ダンやアダムスならば♯12〜18くらいのものがあればたいていのシチュエーションで対応できるはずです。
その他に、水中に沈めて使うニンフやウエットフライなどもあります。ウエットフライはタックルからそれようのものを用意した方が使いやすいのですが(4番のロッドならば兼用も可)ニンフフィッシングならばドライフライで使っていたロッドをそのまま使えるので、魚の活性が低い時や深場など特別なシチュエーションに対しても対応できるように少し用意をしておくと良いでしょう。
フライを浮かせるためのフロータントやニンフフィッシング用のマーカー・ガン玉などの小物も、ベストのポケットに入れておきましょう。
釣り方のポイント
フライフィッシングは、キャスティングでその釣果の8割以上が決まると言われているほどキャスティングに対する精度が求められる釣りです。
フライフィッシングをする以上はキャスティング練習は欠かす事のできない課題なんです。
けれど、考えようによっては、キャスティングがそれなりにできるようにならば魚が釣れるようになるということです。
目標は。3回程度のフォルスキャストで10メートル先のポイントの直径1メートルの円の中にフライを落とせるようになること。
これができれば、間違いなく魚は釣れるようになります。
とはいえ、そこまでできなければ魚が釣れないのかというとそういうことではないんです。
ストーキングに注意をはらえば、もっと近くまでポイントによる事ができます。
膝を突いてキャストすれば、立ってキャストするより2歩前からポイントを狙えます。
少しでもポイントに近づいてキャストすることを考えれば、5mしかキャストできなくても魚は釣れるのです。
まずはそこから始めましょう。そして、そこから少しづつ技術を向上向上させていきましょう。
最近はロングティペットリーダーシステムが主流となりつつあります。私も、このロングティペットリーダーシステムを使って釣りをしますが、その効果は確かにすごいと思います。
今まで狙いにくかった対岸のたるみや複雑な流れのよれも、ロングティペットリーダーシステムを駆使すれば魚の釣れる確立は格段に上がります。
ならば、今までのようなショートリーダでの釣りでは魚は釣れないのでしょうか?
そんな事はありません。現に、現役のプロフィッシャーマンの中でも、また名人と言われる人達の中でも、ショートリーダーでたくさんの魚を釣っている人達はたくさんいます。
では何故その人達は釣れるのでしょうか?それは特別の技術を持っているのではありません。もし特別な技術だとしたら、それは前述のとおり魚に人よりも近づくための技術でしょう。
そうです。ストーキングの技術です。ちょっとした事かもしれません。例えば釣り上がる時には水の中をあるかないとか、キャストする時には膝を突いて身をかがめ、魚から見えないようにするとか、ホルスキャストの回数を最小限にするとか・・・。
ロングティペットで釣るか、ショートリーダーで釣るか・・・。別に分ける必要はないんですよ。その時・その川の状況によって使い分けるのがベストですよ。
フライはできるだけ見やすいものを使いましょう。フライはナチュラルドリフト、自然に流す事が基本。しかし、自分がキャストしたフライが何処に落ちてどうやってながれているのかわからないようでは、ナチュラルドリフトはさせられません。
メインディングなどでドラック回避もできません。ですから、見えるフラいを使う事が魚を釣るための第一歩であり、上達への近道だと思いますよ。
そして、少しでも長くナチュラルドリフトでポイントを流す事。しかし、ポイント全部をナチュラルドリフトできないようならば、そのポイントをいくつかに分割し、下流側から順次釣っていくのが基本です。
活性の高い魚がいれば2〜3回ポイントを流せば出てくるはずです。一つのポイントに執着するのではなく、一つでも多くのポイントにフライを流す事が釣果アップの秘訣です。
ドライフライでの釣りでは、ナチュラルドリフトしているフライには、魚は予想以上にゆっくりと出てきてしっかりとフライを咥えます。フライを飲まれる事もしばしばあるほどです。
ですから、あわせは早合わせはしないこと。魚がフライを咥えて反転したところで合わせるくらいのタイミングがベストです。
しかし、ニンフを使ってのルースニングでは、魚が咥えて反転した時にマーカーにあたりが出ますので、ルースニングで釣る時はアタリがあったらすぐにあわせましょう。
そうしないと、マーカーによるラインテンションが魚に違和感を与えて魚はフライをはきでしてしまいますから。
ドライフライやニンフでの釣りは釣り上がりが基本ですが、ウエットフライの釣りは釣り下ったほうが有利です。